自分の住んでいるすぐ隣にトマトの農家のおじいちゃん、袴田さんがいます。

実はこのおじいちゃんは、80歳のトマトの接ぎ木のプロ!。何とこの道(農家)何と60年!!?です!
トマトの接ぎ木自体は『それほど歴史は無いよ~』なんておっしゃっていたのですが、それにかけてきた時間が半端じゃありません!!
ちょっと前には新聞にも取り上げられたり、近くの小学校では社会見学に子供が訪れ、このあたりではトマトができる時期を狙って、ご近所さんが袴田さんからトマトをねだりにくるのだとか・・・
しかし・・
去年、交通事故に遭って大けがをしてしまってから手が思うように動かなくなってしまい、次接ぎ木が上手く出来なくなってしまったのです。
そこで、『だれかワシの技を継いでくれるのはおらんかの?』と後継者(?)を探していたところ、その話を聞いた僕が技術を教えてもらいたい!なんておこがましく言ってみたら・・・
『ええよ』
と、ものすごい簡単にOKをいただけたのでした!
接ぎ木を教えてもらったその日は、嫁さんと何と当日いきなりの事にも関わらず静岡(!!)から『パーマカルチャー(あらゆる場所に持続可能性を創り出す手法)』仲間のりょう君も駆けつけてきました。
苗作りのお話や接ぎ木のポイントなどを聞き、実際にトライしてみます。

袴田さんの歴史や、日々の農作業のストーリーを聞きながらの作業。
『うまく接くかなぁ・・・? 失敗したらごめんなさい』
『ワハハ! こんなすぐに接けれるようになったら、ワシゃいらんくなっちまうよ。 うまくいくまで何度でもやってみるといいよ。』
僕らの為に自前の苗を提供していただき、それぞれ接ぎ木をすることができました。
思いの他作業はシンプル(?)でしたが、やってちゃんとできるまでに長い長い年月がかかりそうです。
『60年何かやっとりゃ人間国宝にもなれそうだが、ワシはまだまだ幼稚園ぐれぇだの。まだうまくいくときいかんときがある。』
作業中、袴田さんは何かとしきりに自分の未熟さを言葉に出していました。
そういえば・・・
自分の家の目の前で田んぼしているおばあちゃん(この方も80歳!)も
『毎年田んぼをやってもう60年くらいになるけど、毎年初心者だねぇ・・・』
とおっしゃっていました。
常にシナリオのない自然界と付き合い続けてきた農家さん、その人その人の生き様やそんな謙虚な言葉に出会うと、いつも心が揺さぶられる思いがします。
いつまでも完成の無い世界を謙虚に生きている地元農家さんからもっと色々な事を学べたら・・・と想います。
人の手しごとはつい数十年前まで、人から人へ、世代から世代へと受け継がれてきました。
それは昔から途切れることなく・・・つまり持続可能・永続可能に受け継がれ続けたものでもあります。
産業革命やIT革命・・・
人のしごとが機械やコンピューターに替わられはじめ、今自分の知らないところで、猛烈なスピードで色々なしごとがこの世界から消えていこうとしています。
この遠州百一姓塾を立ち上げたのも、できれば人と人との手渡しでしか伝えられない、伝わらないものを受け渡せる『場』つくりたい。 という想いがありました。
その人がいなくなることで消えてしまうものが、今どれだけあるんだろう・・・
様々な手しごととこの自分自身。 これからももっともっと色々なしごとに触れてみたい!!です。
★近日中の百一姓塾 ワークショップ★
2/19 (土) 手作り石鹸ワークショップ
3/6(日) 古民家再生ワークショップ
3/13(日) 自然農塾